相模原市でバナナを栽培?!
安価で美味しく栄養価の高いバナナは、朝食やおやつにぴったりで子供からも大人気の果物です。しかしながら栽培難易度の高さから国内での栽培は僅かで、99.9%が輸入に頼っている現状です。
そんな希少なバナナを相模原市で栽培している人がいます。相模原市南区の井上農園専務、井上喬之(いのうえ・たかし)さんです。
伺ったのは2024年1月中旬、外は真冬の環境下でぬくぬくとハウス内でしっかり育っているバナナを前に、栽培のきっかけや思い、地域の魅力などを伺いました。
農業未経験からバナナ栽培をスタート
井上さんがバナナ栽培をスタートしたのは2023年の3月ごろ。農業未経験でありながら、少ない本数からチャレンジ、試行錯誤を進め、今は90本ほどのバナナの木をハウス内で栽培しています。
日本で栽培が少ない理由は、施設出費や工数の面が主な要因だそう。
バナナは温度管理がとても重要で常に温暖に保つ必要があるため、ハウスを温める機材投資やその維持費がかかります。その点、井上さんは本業である観葉植物事業がコロナ禍で下降傾向となったこともあり、観葉植物を栽培する温室ハウスが空いたことで、施設投資に関してはクリアしていました。
「せっかく温室ハウスがあるので、子供たちが大好きなバナナを栽培してみようと決意しました。社員や近隣の方に配ったり、災害などがあった時の非常食にと思っていました」と当時のことを話します。
WEBで栽培方法を勉強しながらテスト栽培を繰り返し、更に栽培技術を学ぶため、バナナ栽培をしている岡山県へ何度も行き来し技術を身につけていきました。
そして1月中旬。青々とした実が膨れあがり、もりもりとしたバナナの房が出荷間近となっています。
子供たちに安全でおいしいバナナを
栽培初年度ではありますが、井上さんにはこだわりがしっかりとあります。
「バナナ栽培通して地域を盛り上げること、子供たちに安全安心でおいしいバナナを食べてもらうことです」。そのため、農薬は使わず、できる限り地元の資材を使い、安心安全なバナナを目指しています。
バナナ栽培では虫が天敵であり、放置してしまうと全てダメになってしまう可能性があります。農薬を使わない井上農園では、虫や病気がでないよう、90本ほどあるバナナの木を常に観察し、毎日手作業でケアをしています。
「虫や病気がでないよう毎日葉っぱを拭いたり、土の状態を観察しています。気を遣う大変な作業ですが、おいしいバナナを届けるため、従業員とともに頑張っています」と話します。
手間暇をかけて栽培した大半は社員や近隣住民に配ったり、相模原市にある社会施設や子供たちに提供しつつ、販売や加工品製造も考えているとのことです。
「バナナを通して地域を盛り上げていきたいと思っています。まずは身近な家族、社員、近隣住民などから輪を広げていき、ゆくゆくは地域が盛り上がるといいなと、自分の周りからですね。子供たちがこのバナナを食べて笑顔になってくれれば何よりです」と、まもなく出荷を迎えるバナナ集荷への展望を笑顔で話します。
相模原市の魅力は?
井上さんは相模原市に生まれ相模原市に育ち34年。昨年子供も生まれました。そんな井上さんに相模原市の魅力についても聞いてみました。
「相模原市は都会と違ってザワザワしていないのがいいですね。ちょっと行けば自然環境があり、身近に公園や遊ぶ施設もたくさんある。買い物にも不便はないので、子供を育てるには適した環境だと思います」と教えてくれました。
農業初心者からスタートしたバナナ栽培。出荷は2月ごろを予定しているとのことです。バナナを通して“相模原市を盛り上げる“ことを目指す井上さんの活動に今後も注目です。